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ER4SRの記事でER4SRの着け心地は慣れれば我慢できる程度とかなんとか書いたな?あれは本当だ。だが我慢するとは言ってないし我慢はしたくないので、結局ER4SRの記事で候補に上がっていたAH-C820を購入した。 AH-C820 AH-C820の音 再生機器はER4SRの時と同じ。これがかなり良いイヤホンだったのだが、長くなるので箇条書きすると ・どうやら価格以上のパフォーマンスを持ったイヤホンらしい。総合的にはHD650(標準ケーブル)と互角レベルの音質が出ている。 ・解像度はかなり高いレベルで、中低音域においてはHD650(標準ケーブル)を4-5段程度上回っている感じ。だが高域が若干歪っぽくシャリつき気味でHD650(標準ケーブル)に精度・質感ともに劣っている印象。HD650(標準ケーブル)と比べるとAH-C820は音が歪んでいるのが分かってしまう。あまり意識していなかったんだけど歪感の少なさという意味ではHD650(標準ケーブル)は相当優秀らしい。 ・奥行きは価格水準以上。響きの豊かな楽器やエコーが掛かっているボーカルなんかは40cm〜90cmくらい先まで広がっていく感じ。HD650(標準ケーブル)にはちょっと勝てないのだが、RP-HJE70やどんぐり君と比べて優れているし、ヘッドホンのATH-AD700と比べても優れている。横の広がり感に関してもATH-AD700はスピーカーユニットの取り付け位置が耳から遠いので優位なはずだが、ATH-AD700は定位がいまいちでスピーカーに音が張り付く感じが若干出てしまう。対してADH-C820は定位感が良くてスピーカーからの音離れが良いのでそういうことはない。ATH-AD700はスピーカーユニット周辺に音が集まりがち。だから横の広がりに関してもATH-AD700より若干上だと感じた。2万〜3万のヘッドホン相当だろうか。 ・低音ホンかと思いきや意外とバランス型。HD650(標準ケーブル)の高域を強めにしたようなバランス(音の質感自体は全然違う)で、低音の量感はHD650(標準ケーブル)とあまり変わらない印象。ただし超低音域の非常に低い周波数域の再生能力はHD650(標準ケーブル)以上に高い。。。のだが、HD650(標準ケーブル)と比べて音楽を聴く上で明確にメリットを感じられるほどの差はないように感じる。 ・ここが一番気に入っているのだが、音のエネルギー感が高くノリが良い。また音の密度が高いので、まるでジャンクフードのような中毒性のある音が出る。 ・音楽性は結構高いと思う。ただし機械の色を意識しないと言うレベルにはないので、ものすごく良いとまでは言い難いのだが、HD650(標準ケーブル)といい勝負はしてると思う。 ・音色の鳴らし分けはHD650(標準ケーブル)と同程度には出来ている。ただし、音色の自然さという意味ではHD650(標準ケーブル)の方が良い。HD650(標準ケーブル)は音がぼやける癖が乗るだけだが、AH-C820はもっと特徴的なキャラクターを持っている。AH-C820は周波数特性に暴れがあるのか音が硬めで、ボーカルが若干鼻声っぽくなる癖がある。音が綺麗に抜けきらないのである。この癖はピアノやバイオリンの高音部分でも出てくる癖で、潤いが失われて若干渇いた枯れかかったような音になってしまう。この癖は意識して聴かないと気にならない程度だし、AH-C820にはノリの良さと力強さがあるので音楽を楽しむ上ではそこまで問題にならないのだが。それでもアコースティックを聴くならHD650(標準ケーブル)の方が自然に聴こえるし、その方が良いだろう。 ・音色の表現力は音色の鳴らし分けができるかだけでなく、どれだけ自然に聴こえるかも考慮されるので、この理屈ならHD650(標準ケーブル)の方が音色の表現力は高いと言える。ただ、AH-C820はエネルギー感の高さやノリの良さがあるし、中低音域での解像度も高い。そこを考慮してトータルでの音楽性ではAH-C820とHD650(標準ケーブル)はいい勝負をしていると評価した。細かいこと考えずに判断してもいい勝負していると思う。 ・とりあえず気に入った! 装着方法 ・装着方法だが、DENONロゴが前方を向く形で装着するのでなくDENONロゴが横に向く状態で装着するのが正しい装着方法のようだ(スピーカーボックスの部分が耳に当たるように寝かせて装着する)。これ以外の方法だとケーブルブッシュが邪魔をして装着できない。個人的にはこの装着法で密閉度も十分稼げているし何も問題ないのだが、スピーカーボックスが耳に当たる形で装着しているので、装着感はRP-HJE70やどんぐり君の方が優れている。それでもER4SRよりは快適だ。 以下言い訳 HD650(標準ケーブル)と互角レベルと評価しているが、このイヤホンはエージング前はボーカルのさしすせそが掠れて耳の付くし、RP-HJE70並のシャリ付き方で、「このシャリ付き方は安物イヤホンのそれだなぁ・・・中低域はものすごく良いのにこの高域が音全体の品位を落としてるなぁ。全体的に見ればHD650(標準ケーブル)より下の音質かな」と思っていましたが、エージングが進むとシャリ付きはある程度なりを潜めました。それでもHD650(標準ケーブル)やER4SRと比べると明らかに劣る。そこは「1.3万だし、しょうがないかな」と思うところ。。。なのだが、価格の近いどんぐり君では気にならなかったことなので、もう少し頑張ってほしい。 AH-C820はHD650(標準ケーブル)より劣ってる部分(歪感の少なさ。音色の自然さ。音場など)も結構あるんだけどHD650(標準ケーブル)より優れたもの(中低音域での解像度の高さ。音の濃さ。ノリの良さ。など)も持っています。解像度の高さを重視するならHD650(標準ケーブル)と互角レベル。歪感の少なさ、自然さを重視するならHD650(標準ケーブル)より下と言う評価になるでしょうか。個人的にはこのイヤホンは気に入っているし、ちょっと色付けて総合的にHD650(標準ケーブル)と互角レベルと言う評価にしています。(解像度の高さより高域の歪感が気になる人はHD650(標準ケーブル)より高い評価はあげられないってなるだろうけど、まぁ、その、なんだ。親切で教えてあげてるんだから、これくらいの贔屓は許されるだろうw) AH-C820の高域の歪感については残念な部分。他の部分がすごく良いだけに余計悪目立ちしてしまう。目の上のたんこぶ?画龍点睛を欠く?上でAH-C820の音はジャンクフードだと書いたけど、ハンバーガーだけでポテトとコーラはつかないみたいな?そんな感じ。高域の精度・質感が出てくるとより完璧なジャンクサウンドになると思う。価格を考えたら文句を付けるべきではないのだが、他の完成度が高いからついついそんな気持ちになってしまう。 ちなみに上記の感想は付属のシリコンイヤピースを使用した場合のもの。耳障りで綺麗でない高音を聴きたくない場合はコンプライイヤピースを使うと良いかもしれない。ただしその場合は解像度と音の鮮度が落ちてしまうし、ついでにコンプライイヤピースは割高なのでランニングコストも跳ね上がってしまう。 最後にAH-C820を買って満足できるであろうユーザーは「ほぼすべての人にお勧めできます。音は良いですから。」と言いたいところだが、世の中いろんな人がいるし、このイヤホンに欠点がないわけではない(欠点と言っても価格を考えたら許容すべきレベルなのだが)。というわけでこの記事を読んで「高々1万ちょいのイヤホンにうだうだうだうだケチ付けて!頭おかしいの?価格考えろよ!」と思った方は買っても100%満足できます。逆に完璧なイヤホンが欲しい方は買わない方が良いです。 個人的には当初の予定通り要求スペックを満たした上でどんぐり君より音質が良いイヤホンが手に入ったし、予想以上に音質が良かったので満足しています。
2019/01/20 執筆
2019/02/09 加筆
2019/02/26 加筆
2019/03/05 公開
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